○岡嶋裕史(2022)『メタバースとは何か』光文社新書
【中級。これは読む人を選びます。サブカル経験があると読みやすい】
著者自身が自分をオタク気質であることを宣言してつづられています。私はサブカルに疎いので特に前半は難解(サブカルを例示していて分からない)でした。逆にサブカルに接してきた人には読みやすいのではないだろうか?
メタバース自体が「メタ」な「ユニバース」って分かるようで分からないような・・・。本書では「メタバース」を「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」と定義し、これに肉付けをする感じです。
後半は業界動向があり、ここは読みやすいです。
自由と正義についても述べています。スティグリッツ氏はリアルの自由と公平を述べていますが、上記で定義されたメタバースでも自由と正義(すなわち勝者、絶対神)が登場しそうです。本当の勝者は誰になるでしょうか?(2025/10/29)
○小柴満信(2024)『2040年半導体の未来』東洋経済新報社
【中級。ちょっと技術寄りの内容です。とても読みやすい本です】
2040年のことなんて分かりませんが、本書は日本の将来を悲観していない点で楽しく読むことができました。頑張るのはこれからの若い人なんですが。本書は例に漏れず、これまでの半導体の歴史、構造を説明していますが、違うのは今後を予測している点です。大手ですが、思いの他の企業に将来性があることが分かりました。
ただ、技術革新はどこから芽生えるか分かりません。業界の流れは要チョックですね。2040年ってタイトルですが、ひょっとしたら2030年には到達しているかもしれません。これからの明るい日本を見たい方にお薦めの本です。(2025/07/25)
○島津翔(2025)『NVIDIA大解剖』日経BP
【初級。NVIDIAの創生期から今後を展望しています】
私が所有する米国株で円換算して3倍の評価額で世界一の時価総額を誇るNVIDIA。破竹の勢いとはこのことですね。でも順風満帆ではなく、創設時は相当苦労しているそうです。意思決定も型破りです。CEO後はどうなるんだろう。その点を含めていくつかの死角も説明しています。そして現在どの方向に向かって事業を進めているのか解説しています。
私の着目点はただひとつ。今後も投資を続けていいかどうかです。本書を読んでストーリーが崩れたら売り時ですね。今後も目が離せません。(2025/06/08)
○クリス・ミラー著、千葉敏生訳(2023)『半導体戦争』ダイヤモンド社
【初級。半導体の歴史が分かる】
半導体の黎明期から2022年に至るまでの、アメリカ視点で見た半導体の歴史を綴った本です。
もちろんターニングポイントで技術的な話もあり、どのような衝撃があったかを知ることもできます。
日本との壮絶な半導体戦争の後、水平分業が進んでおり、現在のビジネスモデルが一国主義で完結できないことも説明しています。この点は下の2冊の指摘と同様です。半導体の歴史を知る
ことで現在の最先端がどうなっているか、地政学リスクってどんなもんだろうということが分かります。半導体関連の書評は以上です。(2024/02/03)
○湯之上隆(2023)『半導体有事』文春新書
【初級。細かいことにはこだわらず読むと面白い】
簡単に結論を言うと、「半導体ビジネスは、洋の東西を問わずサプライチェーンができちゃっているから戦争なんか止めて人類の発展のために平和な環境で協業しよう」です。
技術的には専門家として詳しく簡単に解説しているので高乗(2022)を読んでから本書を読むと理解しやすいでしょう。
ただし、本書で著者が述べたいところは、著者の希望的観測がちりばめられているので、要注意です。うす~い半導体ビジネスの政治経済本だと思います。
現在でも続いているロシアとウクライナの戦争についても、半導体ビジネスに必要な素材を両国から調達していることを指摘し、半導体製造には多くの国・企業が危うい均衡で成り立っていることから、地政学的な問題を解消するために、半導体製造の内製化なんてできっこないと主張しています。
繰り返しになりますが、フィーリングでは同意できる箇所があるので、細かいことは気にせず著者の主張を確認すると面白い本だと思います。
半導体関連は、あと1冊あります。(2024/01/18)
○高乗正行(2022)『ビジネス教養としての半導体』幻冬舎
【初級。半導体って何だっけのとっかかりにいい本】
株式投資をすると避けることができない半導体株(私だけ?)ですが、そもそも半導体って何かしらを初歩から教えてくれる本です。初級なのでフンワリ柔らかな解説なので、より詳細は他書に譲るって感じですが、半導体の工程、歴史、今後の展望について書かれています。しばらく半導体関連が続きます。(2024/01/14)








